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新島学園を支える地域同窓生の元気

理事長 大平良治

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今、重視される地域の絆

 昨年3月11日、東日本大震災が襲い、多くの尊い人命が失われ大変な被害を出しました。

 特に津波は大規模で未曾有なものでした。識者によりますと、869年に東北地方を襲った貞観大地震よりも大きく、1000年に一度の大津波であったといわれています。この東日本大震災により、いろいろな問題が提起されていますが、国民の意識や価値観も大きく変化しました。戦後の高度経済成長の時代から、人も物もお金も東京を中心とする一極集中が進み「中央集権型社会」が形づくられました。

 また、最近の人口減少・超高齢社会の本格的到来と経済を中心とするグローバル化や情報化、そして経済の長期低迷は地方(地域)を衰退させています。 

 農山村においては「限界集落」が現れると同時に、都市における中心市街地の「シャッター通り」が大きな問題になっています。そのために「分権型社会」の創造が叫ばれ、地域の歴史や文化を重視し、自分の毎日暮らし続けている地域コミュニティの重要性が強くいわれています。かつて古くさく、封建的とも受け止められていた「地域の絆」が復権しようとしています。大きな天変地異が起き、激しい災害が起きたときに、最も重要な役割を果たすのは「地域コミュニティ」の連帯であり共同であり、「地域の絆」であるということが今、国民に再認識されています。新島学園の建学の精神の基である新島襄は、地方(地域)に強い温かいまなざしを向け、地方を担い支える人材の養成をする教育を重視した人でした。1982年(明治15年)7月15日、新島襄は八重夫人と安中に来て、原市において「地方教育論」という講演をしています。その中で新島襄は次のように述べています。「我が国の現在の教育は、中央の教育に集中しどんな学問でも中央にいかなければできない状態になっている。中央の地で受ける悪影響によって学生が腐敗することが多いうえに、学生を感化し養成する勢力が弱いので、今日の状況から論じると真正の教育は地方で実施することが望ましい」「地方の学校で教育を受けた人は、いったんその地方に事が起きたときは、地方の率先者となり、村落の骨となる」

 新島襄は一人ひとりの良心と自立自治ということを強調しましたが、地方(地域)が自立し自治を確立し個性と独自性を発揮することを期待していました。そうすれば我国は振興し民権(民主主義)が発展すると確信していました。

  私は新島襄は、今でいえば地方分権主義者であり、地域主義者であったのではないかと考えています。

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