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校長近影  

新島襄に学ぶ
リーダーシップとは?

新島学園 中学校・高等学校 校長
岩間秀彬


 皆さん、人には、3つの目が必要であることをご存知ですか。

 特に、リーダーには、次の3つの目が必要です。「鳥の目」、「虫の目」、「心の目」です。

 鳥の目は、御存じのように、全体を鳥瞰する目です。大所高所から見ると同時に、現在と将来を展望する目です。虫の目は、現場を細部まで見る目、事実を客観的に直視する目です。そして、「心の目」は、人を思いやる目、相手の立場が自分の事のように分かる目、相手の良いところを探す目です。リーダーにとって、一番大切なのは、この「心の目」だと思います。

 皆さんは、「リーダーシップ」と言う言葉からどんなイメージを抱きますか? どんな人物を思い出しますか? リーダーシップについて、カリスマリーダーとサーバントリーダー(仕えるリーダー)に、二分することが出来るかと思います。カリスマリーダーとしては、日本のカリスマリーダーの筆頭が、今NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」に出てくる織田信長でしょう。
サーバントリーダーとしては、その筆頭が、イエス・キリストでしょう。

 十字架につけられる前の晩、弟子達の足を一人一人洗ってあげて、自分がこの世から去った後、皆このように、人に仕える者になりなさいと弟子たちに教えられました。

 新島襄のリーダーシップは、キリストに似た者になることをその人生の目的にしていましたから、このサーバントリーダーシップ(仕えるリーダーシップ)です。新島襄のリーダーシップはその教育の心に裏打ちされたものです。その教育の心は、「自由」「自立自治」と「良心」です。この三本柱は、互いに関連しており、その中心は「良心」です。キリスト教の精神に基づく「良心」です。

 この世の枠を越えたもの・神との対話を試みた究極の「良心」です。その「良心」の中で、自由に自分を治めて、自分の足で立って生きていくことを、新島襄は私達に教えています。新島襄の生き様は、「良心」の具現化です。

 新島の愛した聖書の言葉の一つに、「受けるよりは与える方が幸いである」とあります。私が気づいた、新島学園で学んだ人達が持っている共通の心、「他を思いやる心」は、新島襄の生き方、「我等は、世に与えんと欲す」という「良心」から培われたものだと思います。

 新島襄は、極め付きの「謙遜な人」でした。学生と道で会えば、必ず、先に帽子をとって挨拶した人でした。その遺書には、「生徒をよろしく、生徒をよろしく」と教え子たちの行く末ばかり心配して、この世を去った人でした。

 私の半生を振り返ってみますと、コニカの米国子会社で社長として、赤字からの脱出を含む悪戦苦闘の10年がありました。帰国後、本社の経営戦略室で、コニカグループ全体の中期経営計画策定等に関わって、企業グループ全体を見て経営する感覚を養った後、売上3000億円、従業員5000人規模で、海外にも工場と販売会社を持つグローバル会社を任されて、社長として4年ほど勤めました。そういう中で、いろいろなレベルでのリーダーシップ力が試されました。

 しかし、この一年間の学校長としてのリーダーシップでは、全く新しい分野ということもあり、一番多くの、そしてある意味で、基本に戻ったリーダーシップを学ばされたと思いました。新島学園で学んだリーダーシップとは、まさに、新島襄に学んだサーバントリーダーシップ(仕えるリーダーシップ)です。

 新島学園の教職員は、生徒に対していつも「仕えるリーダー」でありたい。威厳を保つのではなく、笑顔を絶やさないこと、上から目線ではなくいつも同じ目線で話し合うこと、決して「だめだな」と言わないで、「あなたなら、もっとできるよ」という。その様なリーダーで溢れかえる新島学園でありたいと願っています。

 人(生徒)の潜在能力は無限です。リーダー(教職員)による引き出し方の問題です。個人の力を引き出す、集団の力を引き出すことが、リーダーの醍醐味でしょう。人が、そして、集団が燃える条件とは何かを常に考えるリーダーでありたい。最後は、人を信じること、もっと根源は人を愛することになります。

 


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