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理事長近影  

変化の中の新島学園中学・高校と将来の方向

新島学園中学校・高等学校 校長 岩間秀彬


 今年で、私は、校長就任6年目になります。新島学園の関係者が、『新島ファミリー』と呼ばれるように、生徒、教職員、保護者の皆様、卒業生、さらに、関係者の皆様のご協力とご支援によって、ここまでやって来られましたことをこの機会に、心から感謝、御礼申し上げます。

 今日の話の主題は「変化の中の新島学園中学・高校と将来の方向」ですが、先ず、社会環境の変化についての認識を共有化する中で、今、新島学園が教育の中で特に力を入れていることへのご理解をいただき、将来の方向を話していきたいと思います。


 社会環境変化の中で、生徒の皆さんが将来社会に出て行く時に、特にインパクトの強い環境変化は、グローバル化の進展と人工知能(AI)の職業へのインパクトだと思います。

 グローバル化の進展では、もうすでに、会社内の公用語を英語とし、会議も英語で行われている企業が少なくありません。人工知能については、10~15年以内(今の中学生が、23~28歳ぐらいのころ)に、半数の仕事がAI・ロボットで代替可能になると予測されております。その変化に即応した教育面に要求される課題を今からしっかり認識して取り組む必要があります。

 具体的には…
①10~15年後の社会を見据えた新しいキャリア教育、進路指導のあり方が問われています。
②2020年度を目標に始動した大学入試改革と教育改革の目指す方向を理解し、「これからの高校生に求められている資質・能力」を具体化し、育成するための新しい授業づくりが必要になります。
③日本のグローバル人材の不足への対応と英語をツールとした異文化コミュニケーション力の育成強化の必要性が強まります。

 その様な社会からの要求に対して、新島学園はどのような点に力を注ぎ、実行してきたか、この3年の振り返りから入りたいと思います。

 この3年間で改善強化されたことは…
 グローバル化対応を迅速に開始し、成果が出てきている。

*課外授業の国際教室「英語で英語を教える」指導が、希望者対象に行われました。そして、授業内にも、「4技能と言われる、読み、書く、聴く、話す」の指導が充実して来ました。

*エンパワメント・プログラムでは、世界大学ランキングTOP10に入るカリフォルニア大学バークレー校等の大学の学生達と1週間英語漬けの日々を過ごす間に、彼らのポジティブな考え方に強く感化されて、英語の活用力向上と共にネガティブ思考から、非常にポジティブな、前向き思考へと考え方を変えた生徒が沢山出てきたことは特筆すべきことでした。 

*APU(アジア太平洋大学)での研修は一昨年で終わりましたが、アジアからの学生のハングリー精神とバイタリティーを体験学習したと参加生徒たちが感想を述べています。APUに代わりまして、今年からは、セブ島での2週間英語研修を8月に実施しました。

*昨年は、新たに、「Global English Camp in 軽井沢」を開始しました。欧米だけでなく、アジア、アフリカからの大学留学生達と共に、軽井沢で、2泊3日、寝食を共にして、世界のいろいろな課題を英語で考え英語で発表し合う訓練を生徒たちは体験しました。

*12月には、例年のボストン研修が用意され、内容のさらなる充実が図られています。

*また、中学では、ここ数年、「Joeプログラム」というキャリア教育を進めて来ています。「Joeプログラム」は、新島襄と自分の生き方を重ねて将来を展望し、中学の内に力をつけておくべき目標を決めてチャレンジするプログラムです。キャリア教育や多読チャレンジ、英検、漢検チャレンジ、夢作文、新島襄についての小論文作成等、人間基礎力をつける「Joeプログラム」も、着実に成果が見られてきています。

*特に、英検受験の刺激促進には、さらに力を入れてきております。
中学部で、Joeプログラムチャレンジとして、英検は、漢検や多読目標チャレンジと共に、奨励策を実施して効果が見えてきました。中学生英検合格者は、2017年度で、1級1名、準1級2名、2級7名、準2級48名、3級159名と、努力の成果が見られます。新島学園は、2017年度で、中学3年までに3級取得者は55%以上に達しております。

*全国的にも先進的でユニークな「コンピュター・プログラミング教育」を昨年から導入しており、今年はさらに本格化し、充実発展していきます。具体的には、アソビズム社の指導により、人工知能社会適応の先取り教育の一環として、「米国理系のトップ大学、MITが目指しているプログラミング教育」を中学1、2、3年に導入し始めたことです。中1では、プログラミング体験、中2で実用レベルアプリ作成、中3でチーム編成によるアプリ開発とアプリコンテストへの出品を目指していきます。


 次に、皆さんが常に関心の深い大学進学状況をお話しします。大学進学も、充実した指定校推薦入学に加えて、きめ細かい一般受験指導も充実してきております。

 今回は、2016年度と2017年度の直近2年間の合計で、主要大学合格状況を概略ご理解いただければと思います。

 2年間の合計で、国公立大29名、関東の難関私大は55名、内訳は、早慶上智理科大が14名(早稲田2、慶応2、上智6、理科大4)、GMARCHが31名(青山9、立教10、学習院3、法政5、中央(法)2、明治2)、国際基督教大2名、東京女子大6名、関西の難関私大は、64名(同志社大50、立命館大1,立命館アジア太平洋大2、関西大1、同志社女子10)他にも有名大学として、日大9名、明治学院大9名、芝浦工大6名、金沢工業大8名等です。

 特記事項として、医学部医学科5名入学です。群馬大、山形大、帝京大、ハンガリー国立大、ドイツ・ハイデルベルク大の各1名。

 施設の充実面では、一昨年、教務棟を新設して、職員室内に生徒達の相談コーナーも充実しました。電子黒板等のIT設備を備えた教室として、ラーニング・コモンズが当学園でも大いに活用され、グループ討議も取り入れたアクティブ・ラーニング授業が進んでいます。また、今年2月には、バリアフリー化を目指して、南校舎に新たにエレベーター設置が完了しました。

 今年4月25日には、第2グラウンドにて、1年がかりで建設してきた人工芝サッカー場と全天候型の陸上練習場が完成しました。今後、地域の小・中学生対象のサッカーや陸上練習への貢献も果たしながら、施設面でも、大きくアピールできる体制が整ってきました。

 以上、この3年間の振り返りの中で、改善強化されたことを述べましたが、将来の取り組みにつきまして、人工知能の発達による社会変化に対する教育面での対応は、新島学園としてもこれからの取り組み課題です。


 今までの実績と社会の変化要求を踏まえて、2018年度の方針は、「すべては、生徒の成長のために」を合言葉に、「10年先を見て、生徒の個性を伸ばす学園、遠方からでも子供を送り込みたい学園」への道を着実にしていく基礎作りの年にしたいと思っております。

 具体的には、文科省指導で、2020年度から順次始まる次期学習指導要領の目玉である「アクティブ・ラーニング」(能動的学習)の推進です。アクティブ・ラーニングとは、「主体的で、対話的で、深い学習」と説明されています。

 目的は、①何を知っているかという、知識、技能を身につけ、②知っていることをどう使うかという応用力を育て、③その結果、どのように社会と関わり、よりよい人生を送るかということです。明治以来の詰め込み教育から脱し、対話型の21世紀型学習へ転換することです。

 その様な教育を促進する為に、2020年度を目標に大学入試改革が計画されてきております。

 それは、入試の点数という単一尺度ではなく、小論文、高校の成績、課外活動の報告、面接など様々な材料を用いて、多角的に人物を評価する入試形態に代わっていくということです。「多様性こそが価値である」という認識が共有化されていくでしょう。その点では、新島学園は既に、多様性を大切にしてきており、これからも大切に育てていきます。


 新島学園は、グローバル化と言う言葉に振り回されて、浮足立って何かをしている学校ではありません。このような変化のときこそ、新島学園としては、もう一度教育の原点である、人格形成について、見直すことを大切にして、同志社大学元神学部教授の本井康博先生を招きまして、教師研修会を毎年行ってきております。この研修の感想文を教員の方々が書いてくれました。その中から、新島学園の教育の基本を表す言葉を拾って紹介いたします。

 「生徒一人ひとりをしっかり見つめ把握し、生徒の個性、長所を伸ばしてあげること。また、生徒と教員は同等であり、同じ立場の中で生徒に成長になるものを、与えて行くものだと感じた」

 「私は今、自分が人生をかけて蓄積してきたものを、この子たちに伝えていきたい」

 「決して力ではなく、豊富な知識と熱い、温かい人間性をもって諭せる教師になりたい」

 「新島学園の全教職員が一致してすべきことは、『生徒一人ひりの尊重』である」

 このように、教員の方々は、生徒一人ひとりに出来る限りの愛情を注ぎ、大切に育み、自己肯定感を養うことで、他人の立場にたって考え行動することが出来る真の思いやりを持つ人物に育てることが出来ると言っております。


 新島学園は、このような教育の心を、熱く胸に秘めた教職員が、中学から高校の6年一貫教育の特質を最大限に活かして、生徒の人格形成と学力向上に責任もって、取り組んでおります。

 新島学園は、ただ、知識を詰め込み、偏差値を上げて受験競争を突破すれば良いという教育ではなく、社会に出てから伸びる豊かな人間性を育成し、先の先を見て、社会が必要とする人材を育成してまいります。

 私たち教職員は、この新島襄の教育の心を、もう一度グローバルという大きな視点で、学び直す中で、それを日々の教育に実践していくことを基盤にすえて、新しい試みを、失敗を恐れず、大胆に進めて行きたいと願っております。


 最後になりますが、私は生徒一人ひとりが新島学園にいる間に、人生を幸福に生きる生き方、考え方を少しでも、知ってもらいたいと願って、色々な機会を通して「感謝の心」を育てる話をしてきています。具体的には、感謝と幸せは一つのからだであり、一つの根であるという話です。感謝する心に幸せが宿り、その幸せの中に、さらに大きな感謝が育つと言うことです。感謝の心は、人にも優しく、他を思いやるこころに通じるものです。

 今日の私の話を、私の生涯聖句であり、座右の銘である聖書の言葉で締めくくりたいと思います。

 「いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。どんなことにも感謝しなさい」
(テサロニケⅠ 5章16~18節)


新島同窓会報「根笹」

新島学園中学校・高等学校 新島学園短期大学